Rosso di Montalcino Fascia Rossa 2014 Biondi Santi
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ロッソ・ディ・モンタルチーノ・ファスチャ・ロッサ 2014 ビオンディ・サンティ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョヴェーゼ/ミディアム》
先代のクレメンティ・サンティが、イル・グレッポの地でワイン造りを開始。その後継者は孫のフェルッチョ・ビオンディ・サンティ氏に。栽培されるサンジョベーゼの中で、房も粒も大きく、凝縮した果実味を持つクローンを選別‥それこそがサンジョベーゼグロッソでありブルネッロと呼ばれるBS11のクローンとなりました。フィロキセラ後の畑にサンジョヴェーゼ・グロッソのみを植え替え、スラヴォニア産の大樽での4年間もの長期熟成を施しブルネッロ・ディ・モンタルチーノ1988年が誕生します。
1917年、当主となったのはフェルッチョの息子のタンクレディ。そして5代目となる当主は2013年に他界したフランコ・ビオンディ・サンティとなります。フェウッチョの代から姓がビオンディ・サンティに変わるのは、クレメンティの娘がビオンディ家に嫁いだことからだそうです。
1983年まではロッソ・ディ・モンタルチーノの格付けがなかったことから、ヴィーノ・ロッソ・ディ・ヴィニェート・ディ・ブルネッロなどの名前でセカンド的位置づけのワインも醸していたようですが、当時はブルネッロ・ディ・モンタルチーノもそれも、当時のワイン法ではサンジョヴェーゼは90%までで良いとの規定があり、他の品種がブレンド可能なこともあり1967年に創設されたコンソルツィオへの加盟を拒否していた歴史もあります。その後、1980年のDOCG昇格時に品種はサンジョベーゼ100%と規定されてからフランコもコンソルツィオに加盟‥という歴史もあります。ブルネッロの産みの親が故の‥厳しさですね。
現在、イル・グレッポに所有する畑は約25ha。ブルネッロはスタンダードなこのアンナータと、リゼルヴァ。ロッソ・ディ・モンタルチーノ、元々自家消費用だったロゼも。
今回ご紹介するのは「ファスチャ・ロッサ(赤帯)」を名乗るロッソ・ディ・モンタルチーノ。発酵は1950年代からセメントタンクと大樽の併用(リゼルヴァは大樽のみ)。天然酵母で28度から30度、15日から18日間のアルコール発酵行われます。48hlのスラヴォニア産の大樽で通常のロッソ・ディ・モンタルチーノは12ヶ月、アンナータとリゼルヴァは36ヶ月の樽熟成が施されますが(リゼルヴァはアンナータよりも樹齢の高いブドウ)、この「ファスチャ・ロッサ」は樽熟成期間こそ通常のロッソ・ディ・モンタルチーノと同じ12ヶ月となりますが、使用されるブドウが違うんですよね。
この「ファスチャ・ロッサ」がリリースされるのはこれが4ビンテージ目。1989年、1992年、2002年、そしてこの2014年となります。そう、ご想像の通りオフビンテージにのみリリースされており、この「ファスチャ・ロッサ」がリリースされるビンテージはアンナータもリゼルヴァも詰められません。いわゆる「デクラッセ」となります。
通常ロッソ・ディ・モンタルチーノに使用されるブドウはその樹齢5年から10年の若樹からのもの。アンナータは10年から25年、リゼルヴァは25年以上の高樹齢のブドウが使用されます。しかし、オフビテージということ、アンナータやリゼルヴァに使用されるはずだった高樹齢のブドウも全てこの「ファスチャ・ロッサ」に格下げ、使用されています。
通常のロッソ・ディ・モンタルチーノよりもよいブドウを使用、しかしオフビテージ。価格は通常のロッソ・ディ・モンタルチーノよりも高いが、通常のアンナータよりもぐっと価格は抑えられています。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ラベルはカスタードクリーム色地でいわゆるロッソ・ディ・モンタルチーノと同じですが、ラベルに向かって右上から左下へ赤、というよりもワイン色に近い色で太い帯線がはいります。また、肩部分の年号とボトルナンバーが入る小さなシールの年号部分が通常は茶色地ですが、このファスチャ・ロッサは、赤帯と同じ色となります。キャップシールはビオンディ・サンティらしい赤、新しいデザインのDOCシール。さて、問題となるのがバックラベル。そう、ビオンディ・サンティはバックラベルに生産本数が記載されています。この2014年のロッソ・ディ・モンタルチーノ・ファスチャ・ロッサの生産本数は‥
32,400本
少ないです。想像していたよりもずっと少ないです。オフビンテージ、格下げするからと言って、特別なファスチャ・ロッサの赤帯ラベルを奢り、通常のロッソ・ディ・モンタルチーノよりも高い価格設定をしているわけですが、正直、もっと生産本数は多いと思ってました(5万本は余裕であると‥)。
2012年のロッソ・ディ・モンタルチーノの生産本数は16,800本、残念ながら2013年はエノテカさんの取扱いなく未確認。平均的なビンテージならもう少し多いかもしれませんね。
2010年のアンナータが65,914本の生産本数。2010年ならリゼルヴァも生産しているはずなので、平均的なビンテージのアンナータはもう少し生産本数は多いかもしれません。
ロッソをアベレージを15,000本、アンナータのアベレージを60,000本と少なめに見積もって、並年のビオンディ・サンティのロッソとアンナータ合計で75,000本とします。オフビンテージの2014年、すべてをファスチャ・ロッサなロッソ・ディ・モンタルチーノとして瓶詰めしたわけです。
オフビンテージはブドウの生産量も減るでしょうし(≒不作)、品質維持のために、収量も抑えるはずです。しかし、半分以下というのはかなり少ないと思いますよ。もちろん「視点、始点、支点」を思うといつもの倍量のロッソ・ディ・モンタルチーノが生産されたと考えることもできますが‥。
この価格も致し方なし。
これだけ2014年の生産本数を減らせば、ロッソ・ディ・モンタルチーノのデクラッセして統一したとはいえ、同じ価格はナンボなんでも可哀想。もちろん、その分、平時のロッソ・ディ・モンタルチーノよりも‥を期待はしますけどね。
キャップシール頭を剥がして覗くコルク頭を見て「いいワイン」と実感できるコルクの密度の高さ。コルクはロッソとも、ブルネッロとも記載はないが、ヤコポ・ビオンディ・サンティ、テヌータ・グレッポの刻印がある4.5cmのロッソ使用と思われます。グラスはヴィノムのブルネッロ型一択ですね。
色調がいいですね。アンナータだともう一段深いグラデーションなのか?いい意味でロッソらしい淡さも兼ね備えたサンジョヴェーゼ・グロッソらしい赤色です。グラスからの香りはまだ全開ではありませんが、ビオンディ・サンティらしいサンジョヴェーゼ・グロッソなどこか若い緑も混じる果実香で間違いはありません。果実香は樽に支配されることはなく、穏やかながら力みのないもの。
インキーさは皆無のスミレ、ピュアなサクランボ、赤いベリー系の果実香が主体です。アンナータほどの濃密さは香りからは感じられませんが、そう、アンナータではないのです。エレガントながら複雑さと旨味が平時のロッソよりもあるはずで、それを求められているわけで、何も濃さを求めているわけではないのです。
いよいよ口に含みますすと‥‥うん、確かにアンナータほどの密度ではないが、とてもキレイなミディアムボディなんですね。しかも完成されている。輪郭はふわふわと弾力のあるやさしさで、果実味の密度もミネラル硬さや、押し込めたような果実味ではない。エレガントという表現は「薄い」ではなく「軽やか」で、13.5度のアルコールすら感じないかもしれない13度のようななスムーズな飲み口。
香り、含み香ともにまだ判断すべきでない時期に開けてしまったと少し後悔するがまだ初日の一杯目、イレギュラーなワインがゆえにそうゆう部分の進捗具合は例年と同じように考えてはイケナイのかもしれない。ビオンディ・サンティであるぞよ的な静粛感ありありで、閉じではないものの、無視されてるような気がしないでもないが、ここは、お近づきになりたい‥という低姿勢で挑むことにする。
酸味、渋味、フラットという意味ではなく、飲み手の興奮をスカすように高揚を維持していますね。もうビオンディ・サンティレベルになるとワチャワチャしない‥ということでしょうか。
酸味の質がいいですね。いわゆる隅々まで行き渡ります。酸味同等に豊富な渋味にデクラッセを感じます。平時のロッソだともう少しタンニンは抑えめ(後ろ)でしょうか。
華やかな果実香だがスロースターターなのは実感。二杯目は軽い量にしておいた。このワインとの勝負は長丁場になるのかな(なんで勝負やねん)。
いや、この(少ない量ながらの)二杯目にして甘味と旨味ある果実味を感じられる。いやあ繊細だなあ‥この押し付けがましくない感じ、逆にドSなんですよね。もうちょっと‥ほら、ほら‥なんか、ほら‥そいう言いたくなる。決してツンデレでもないのだけれども。
二日目もヴィノムのブルネッロ型。初日同様の明るさのある色合い。サクランボの香りは初日よりもグンと開いて感じますね。香りだけれではなくようやく「心」も開いてくれた予感。サクランボと追いかけっこをするようなやさしいスミレの香りは芳香、アロマチックではなく穏やかに、揺れて初めてな立ち方。この色調、香りの密度や立ち方は、決してアンナータに変わるものではない。あくまでもロッソ・ディ・モンタルチーノの延長線上にあるもの‥は、モンテラポーニのファスチャ・ロッサと同じですね。
初日に顕著だった若いビオンディ・サンティらしい緑の香りも馴染み、赤いフルーツの香りが主体です。口に含みますと、香り同様に味わいも力みなく開いています。初日同様のやわらかな輪郭から甘味を。十分な密度感がありながらも重苦しくない果実味。これもモンテラポーニのファスチャ・ロッサと同じですが、タンニン量がいつもよりも多いと感じます。
旨味もようやく顔を出した感じで、二日目はより開いて感じるとはいえ七分咲き、もっと開きや、深みは増すはずで、待望のジューシーさやつゆだく状態までもう一歩の段階。とてもエレガントな酒質ですね。ほぼアンナータを期待しているとしっぺ返しを喰らう。あくまでもオフビンテージだし、やはりロッソ・ディ・モンタルチーノからの派生。
無理のない甘味が渋味の関係性がとてもいい。ラズベリー、フランボワーズ。とても繊細な果実香。
二日目の二杯目、かなり小分けに毒味しています。やはりグラスの中でよくなるタイプで、もう少し時間が必要なのかもしれませんね。果実味の甘味に、渋味、そして甘味のある渋味、サンジョヴェーゼの毒味はほぼ酸を主体に見る(見える)のですが、もちろん良質な酸が不足なくあるとはいえ、これだけタンニンが目に留まるのも久々。
アンナータ(リゼルヴァ含)になるつもりだった樹齢の高いブドウ達の主張はタンニンに表れているように思いますね。どんどん、ようやく旨味も前に出てきつつあり、酸味、渋味、果実味達とのバランスが取れてきましたね。果実味に旨味が乗ってくるのと同時に香ばしさが出てきましたね。
そもそも、このファスチャ・ロッサはどの段階でデクラッセされたのかは不明です。輸入元さんには確認してもらってますが回答があるとは思えません。デクラッセされたタイミング、端から2014年はロッソ・ディ・モンタルチーノしか仕込むつもりがなかったのか?あくまでも、アンナータも仕込みつつ12ヶ月の樽熟成時点でデクラッセになったのか‥。
しかし、これだけ生産本数が少ないのを思うと、ブドウ収穫時点で相当な選別、収量を低くしたはずで、端からロッソ・ディ・モンタルチーノのみ≒ファスチャ・ロッサとして仕込まれたと想像しています。ビオンディ・サンティにとっては相当厳しいビンテージだったんでしょうね。
にしても、ようやく旨い。このエレガントな酒質に灯る旨味がとてもいい。
三日目もヴィノムのブルネッロ型。グラスに注ぐ途中からやわらかなサクランボの香りがスミレ、少しのバラとともに広がります。ようやく心を許してくれたような感じ。いや、決して初日から閉じではなかったはずなのですが。果実香にはとてもチャーミングな甘味がありますね。熟したイチゴなんかもありますね。
ようやく旨味が前。でも、まだカチっと構成感に鍵をかけるかのようなタンニンがあり、酸味は旨味とともにジューシーになりつつあるが、渋味がまだ勝る。この三日目にかけて集中度が増す。初日はもう少し軽やかに感じていましたが、核に向かってすべてが集中する。
ふう。正直、一時はどうなるかと思ったぜ。ビオンディ・サンティらしさ、偉大なるブルネッロの片鱗はこの三日目にしてようやくと言えるでしょう。とはいえ、その複雑さもとても繊細‥うん、とても美味しい‥ミディアムの極地。
五日目です。そう四日目はすっ飛ばしました‥のこりの一杯、どうせなら‥ということです。もちろんグラスはヴィノムのブルネッロ型。香りはいいですね。三日目と同レベル、少し、砂糖を足す前のこし餡の風味がサラリ、うーん、押し付けがましくなければ、取って付けたような要素もない。
まるでブルネッロ‥だなんて言わない。
あくまもでもロッソ‥なんだけれども。
少し鉱物的な香りが混じるスミレとバラの香りが繊細。まるで、上質のスプマンテのガスが立ち上るような繊細さ。口に含みますと、さらなる脱力感‥力みがないという意味でヌケではない。
しっとりと旨味があり、ようやくスミレとバラに芳香さを覚える。花の香りの余韻が長い。ただし、味わい自体はか細さを感じるほどさらに繊細になる。
旨味、つゆだく具合はもうサンジョヴェーゼのお手本の様、抜栓後も数日の時間を要するが、グラスの中でも、少しの時間は必要‥繊細なタイプなので過剰なスワリングは禁物です。
確かにオフを感じさせるし、ロッソ・ディ・モンタルチーノであることも間違いない。でも、デクラッセを感じさせる部分もあり、そこが非常に繊細なんですよね。これがデクラッセもされずに通常の若樹のみでロッソ・ディ・モンタルチーノを醸していたら?いや、それらのブドウは売り払ってるかもしれませんね。ビオンディ・サンティなら。
純粋にコスパだけを考えると分が悪いかもしれませんし、単純にコスパだけでは計れないし、計ってはイケナイ。収量を減らし、畑での仕事をした結果これだけの本数しか醸せてない、それがオフビンテージのデクラッセであり、正直、混ぜ物をしなかった証なのかもしれません。オフをどう考えるか‥モンテラポーニのファスチャ・ロッサ同様にいい課題でした。うん、飲んでよかった。
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