Etna Bianco 2020 Graci
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エトナ・ビアンコ 2020 グラーチ
《イタリア/シチリア/白/カリカンテ70%、カタラット30%/辛口》
元々、実家はシチリアでブドウ栽培農家だったがそれを継がずにミラノの投資銀行で働いていたというアルベルト・グラーチ氏。しかし、エトナを訪れてワイン造りを夢見るようになったのだとか。2004年、祖父の他界を機に実家に戻ったアルベルトはシチリアでは一般的な(語弊あり)質よりも量を重視していた祖父の荘園を売り、エトナに畑を購入します。
「エトナは特別な土地。火山性土壌で、豊富な日照がありながらその標高の高さから冷涼。そして、100年を越える樹齢の高いブドウが現存していること。」
アルベルト・グラーチの好むワインはバルトロ・マスカレッロや、ジャコモ・コンテルノのバローロだとか。規律の中に厳格さがあり、妖婉さや純粋さがあって野蛮ではない。そんなワインを造りたい。彼が購入した醸造所は100年以上の歴史を持つ建物で、古い大樽や、木製のプレス機もまだ残っています。発酵槽は大き過ぎて使えないので小型のセメントタンクを導入しています。
ステンレスタンクは発酵時に温度が一気に上がるので、温度がゆっくりと上がるセメントタンクの方が酵母の能力を最大限に引き出せるという考え方。とはいえ、ステンレスタンクも使用してますけどね。
畑は、エトナの北斜面、最も注目されているエリアのひとつである「パッソピッシャーロ地区」にある。2004年に購入した畑は標高660mの「アルクリア」と標高1200mを越えるフランク・コーネリッセンの隣の畑でもある「バルバベッキ」の2つ。以前の畑の所有者がケチだったお陰で一切農薬が使われていなかったとか。剪定は効率的ではなかったが、土壌は痛んでおらずとても良い畑のようです。
アルクリアは25haの敷地の内、ブドウ畑は15haでネレッロ・マスカレーゼが90%、ネレッロ・カプッチョとカタラット、カリカンテが他に植えられている。1200mを越えるバルバベッキに至ってはフィロキセラも到達していない区画で、そのほとんどの樹が自根。あまりにも標高が高いので他にはオリーブとリンゴしか育たないとか。湿気や病原体は少なく、ブドウにまつわる病気はほとんどない。それは農薬を使用する必要もなく、ボルドー液さえ使わずに栽培することが可能ということ。ただ、極度の乾燥による自然発生する山火事が問題になる。
標高1,200mともなるとブドウが完熟するのは11月になる。ゆっくりと熟したブドウは果皮の成分が豊かでタンニンに青さがない。樹齢が高いので収量は自ずと減る。1つのブドウ樹に3から4房しか収穫はできない。さらにブドウ樹は水分を吸い上げる力が弱いので、粒も小さくなる。
エトナ北側斜面のパッソピッシャーロ村。アルクリアとパッソピッシャーロに位置する600mから660mの畑で栽培される1,5haのカリカンテと1haのカタラット。鉄分や窒素が豊富な土壌でブドウはゆっくり熟す。収穫は10月末、発酵はステンレスタンクで行いそのまま6ヶ月の熟成。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
シンプルなグラーチらしいラベルデザイン。ETNA BIANCOの筆記体の文字はevanghelionって書いてある風です。ドーベルマンだったかお座りしているワンちゃんも健在。コルクは5cm弱のディアム社製ですが、(10)番が使われてますね。スタンダードな白にしては贅沢なコルク。冷蔵庫キンキン温度、グラスはシュピゲラウ、ディフィニッションのユニバーサル型です。思ったよりも黄色味はしっかりしていますよ。香りも柑橘がしっかりしてる。レモンと少しパインの風味がありますね。ミネラルも感じますが、あくまでも果実香が主役。ミネラルはエトナらしい火山性土壌を感じさせるもの。少し火薬っぽさもあるかな。口に含みますと、キレイに冷えてますね。輪郭にミネラルがありますが、継ぎ目なく密度感もある。穏やかで無理のない密度。あ、表記のアルコール度数は12度と今時のワインとしては、低めなのも飲みやすさに通じるのかもしれない。アルコールのボリュームは期待できない度数だけれども、果実味に密度感もあるので、物足りなさは皆無。終盤の苦みと、その一歩手前の塩味。酸味は伸びやかでしっかりとドライ。
エトナって山のワインじゃん(なんで、じゃん)と思うのですが、このミネラリな感じって、青魚とかにも合うんですよね。シチリアなのでイワシと言いたい気分ですが、サンマや、アジ、シマアジ、サバなんかも鮮度さえよければおいしい塩と、レモンとおいしいオリーブオイルだけでもいいかもしれません。ただ、個人的に青魚を火を入れたものにはどうかな?あくまでも鮮度のよい生の青魚の方がいいように思います。また、牡蠣などの貝類にもいいかもしれませんね。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、シュピゲラウ・ディフィニッションのユニバーサル型です。山のワイン、山のミネラルなんだけど、どこか潮を感じるからエトナって面白い。ミネラルばかりではなく、しっかりと柑橘の風味があるし、色も薄くはないから尚更視覚からも柑橘しっかりと感じますね。飲み口は、初日よりもミネラルはやわらかくしなやか。硬いミネラルではありません。酸味もトゲトゲしくはなく、輪郭はつるんとしていますが、豊満ではなく、タイトな表情もある。なんだか12度というのが信じられませんが、なるほど飲みやすい。
三日目も冷蔵庫キンキン温度、シュピゲラウ・ディフィニッションのユニバーサル型です。いいですね。まとまってないという意味ではなく、ミネラルや柑橘などそれぞれの要素がクッキリとしています。それぞれを確認しつつもバランスが取れてる、もちろん12度なんだからなおさら飲みやすく飽きがこない。度数は低いのですが、それなりに旨味も感じるので不足感がないんですね。
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