Rosso di Montalcino 2007 La Gerla
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ロッソ・ディ・モンタルチーノ 2007 ラ・ジェルラ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョベーゼグロッソ/フルボディ》
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ協会の地図を拝見しますと、モンタルチーノの街の北側に位置しています。その南隣はイル・パレディソ・ディ・マンフレディ、北隣はカナリッキオ・ディ・ソット、東隣はフランコ・パチェンティのカナリッキオなんですね。オーナーはセルジオ・ロッシ氏、元々はビオンディ・サンティ家が所有していたコロンバイアと呼ばれる農園を1976年に購入し、ラ・ジェルラを興したのが1978年のこと。現在では約11.5haの畑を所有しています。エノロゴはかのヴィットリオ・フィオーレで、アグロノモはアルベルト・パッセリが就いています。
そんなモンタルチーノの北側のゆるかやな斜面は海抜約320mのあたりとなりますが、所有する畑はふたつの区画に分かれます。ひとつは、北東から東向きのカナリッキオ地区にある畑‥こちらは6haとなり、1976年と1982年に植樹したグロッソが植わる畑で、このカナリッキオの区画は石灰質に富む土壌。このカナリッキオの地区に所有する畑の中の1.5haがクリュとなる「リ・アンジェリ」の畑となり最も日当りのよい区画。もうひとつはカステルヌォーヴォ・デッラバーテ区画で南東向き(ポッジョ・ディ・ソットの近く)。1988年にグロッソが植樹されています。所有する畑に植樹されているのは、すべてサンジョベーゼ・グロッソで、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを目指しますが、そのポテンシャルごとに樽を分けセレクトされます。
そんなラ・ジェルラがリリースしているのは、ロッソ・ディ・モンタルチーノ、スタンダードなブルネッロ・ディ・モンタルチーノと、単一クリュであるリ・アンジェリの名を冠したブルネッロ・ディ・モンタルチーノと、良年のみリリースされるそのクリュ・リゼルヴァ。唯一のIGTとして、ビルバと名付けられたサンジョベーゼ・グロッソを100%をバリックで熟成させたもの‥あとはオリーブオイルとグラッパもリリースしているようですね。
サンジョヴェーゼ・グロッソは、伝統的なT字型、コルドーネ・スペロナートで仕立てられ、2つの芽のみを残すように剪定され低収量を保ちます。手摘みでの収穫後、温度管理やデレスタージュ(液抜き静置法)が容易なステンレス・スチールのタンクで発酵が行われます。ボトリングは無菌スペースで自重を利用して行われています。そのIGTであるビルバ以外は、大樽での熟成を施している生産者‥ながら、古典ではない良い意味での現代的な洗練さも兼ね備える生産者でもあります。
今年訪問したブルネッロ・ディ・モンタルチーノの展示会では、2006年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノのみをテイスティング‥樽熟成途中かと思われましたが、その印象は悪くない。ロッソ・ディ・モンタルチーノの2009年はテイスティングできず‥単一クリュは出品されていませんでした。
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海抜270m-320mに位置する斜面で栽培される平均樹齢20年のサンジョベーゼ・グロッソが使用されます。コルドーネ・スペロナートで仕立てられたそれは、各葡萄樹に2-3房のみを残して収量を抑え、手摘みでの収穫と選果が行われます。収穫された葡萄は、やさしく圧搾され、約30度に温度管理されたステンレス・スチールのタンクで15日間の醸し発酵が行われます。熟成期間は合計一年半。スロヴェニア産の樽で8ヶ月の樽熟成後、無菌状態、自重を使って瓶詰めされ8ヶ月の瓶熟成期間を経ます。なお、輸入元資料では熟成期間は22ヶ月、瓶熟成期間は4ヶ月とされています。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ラ・ジェルラのフォント使い、色使いはなかなかセンスがイイですね。清潔な白地に金で縁取られた朱色の紋章などもセンスがいい。キャップシールも引き締まった印象で、底の凹みは少ない茶色のボルドー瓶なのはロッソ‥だから仕方ないですね。バックラベルに表記のアルコール度数は14度。コルクはなかなかの質の4.5cmです。グラスはオヴァチュア。
中心部は紫がかり、エッジに向けオレンジの射す朱色‥中心部は透けて見え、全体的には小豆色な感じかな。香りはとても開いており、よく熟したブラックチェリーと、密度の高いスミレの香りがとてもフルーティですね。スパイスがアクセントになる旨味を連想させる香りがたっぷりです。
口に含みますと、とてもやわらかい密度。含み香によく熟したリンゴの皮、柑橘、葡萄そのもの、酸味にはまだフレッシュさはありますが、ぷちぷちするものではありません。旨味が強く、美味しさのバランスはとても良い。キメ細かいタンニン、酸味がどんどんとジューシーになり、すでにつゆだく。口の中にもスミレと、果実香が広がります。甘味はありますが過ぎないのも良い。余韻に向けてしっかりと渋味も感じるのがグロッソ的だなぁ。ランク的にはセカンドとなるわけですが、良いキャンティ・クラッシコ同等の深い味わいに、この価格も納得。余韻も十分で、とても美味。ロッソ・ディ・モンタルチーノは抜栓したてから美味しくなきゃね。
二杯目です。果実の香りの中に微かなハーブ香‥ながら、青々としたものではないし、未熟と感じさせるかどうかは解釈。きっと樹齢の若い葡萄から醸されているわけですが、それが、この若さって素晴らしいを表現するのです。14度という高いアルコールはさほど感じさせず、果実の香味主体なのがとてもいいですね。イキナリのやわらかさ‥は使いやすいワインだな。グラスの中で、どんどんと味わいが膨らみを増し、複雑さも‥。ホロっとした苦味を伴うスパイスが効いてるねぇ。塩だけじゃなく胡椒も‥な肉の表面を焼き切りたい。
二日目です。グラスはオヴァチュア。初日同様にフルーティーな果実香が広がります。いいですねぇ。グロッソらしいスミレの香、チェリーもベリーもたぷーりで、スパイス香のアクセントがとてもいい。甘味もあるのでワイン単体でもなかなか楽しませてくれますね。旨酸っぱさ、渋味‥バランスいいですよ。余韻が複雑‥後を引く旨味と酸味が美味しい。余韻に苦味な香りを感じますが、それもいいアクセントですね。味自体はドライ‥肉の脂が欲しいのぉ。
二杯目です。セラーの温度は15度弱‥となると、これからの季節はちょっと低く感じるので、放置プレイで温度が若干あげました。深いですねぇ。温度って大事だな。とても深くなってきたし、密度も高く感じますね。でも輪郭その他‥やわらかさ‥しなやかなタッチがラ・ジェルラの持ち味‥美味しい。
そのリゼルヴァ・リ・アンジェリをブルゴーニュ型グラスで飲んで気を良くしたので、このロッソ・ディ‥も、ブルゴーニュ型グラスで‥
めっさええやん♪
なるほど‥ラ・ジェルラは、ブルゴーニュ型グラスが(も)似合うかもしれませんね。純粋にロッソ・ディ‥でも、オヴァチュアだと小さいのかもしれませんが。大振りのグラスでたぷーり注げば、さらに開いた果実の香味がたぶーり感じて頂けると思います。
三日目です。グラスはオヴァチュア(え!?)。完熟プラムの甘味、サンジョベーゼによく感じる粉っぽさも出てきましたね。落ち着いてきたなぁ‥まとまりを感じます。三日目ぐらいで落ちないのは想像通りですが、三日目にしてしんみりと旨味と酸味がまとわりつきます。旨味主体‥とても美味しい。
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