Trebbiano Spolentino 2015 Perticaia
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トレッビアーノ・スポレンティーノ 2015 ペルティカイア
《イタリア/トスカーナ/白/トレッビアーノ・スポレンティーノ/辛口》
中部イタリアの古い言葉である[Perticaia]は、日本語に訳すと「鋤」なんて聞き慣れない言葉に辿り着きます。「鋤(すき)」とは、幅の広い刃に柄をつけた櫂(かい)状の農具で、手と足で土を掘り起こすのに用いる農具が由来です。
ペルティカイアのブドウ園が発足したのは2000年のこと(ファーストビンテージも2000年のようです)。同地区にある名高いサグランティーノの生産者であるコルペトローネや、スカッチァディアヴォリでの長年の経験を元に、ブドウ栽培のみならず、ディレクターとして活躍していたグイド・グアルディッリ氏が独立し、興しました。もちろん、これまでもサグランディーノ・ディ・モンテファルコに携わっていた彼にとって夢の自身のアジェンダとなる約束の地は、モンテファルコ以外に選択肢はありませんでした。コルペトローネと同じく、ペルージャの南でありモンテファルコ地区の東に位置すグアルド・カッタネオ地区にブドウ園を構えることになりますが、元々は、スカッチァディアヴォリが所有していた農園だったようで、当初はオリーブ園だった土地を開拓しブドウを植樹したそうです。
そんなペルティカイアのブドウ園は、海抜300mから350mの緩やかな斜面の中腹に位置し、南西向きとなります。土壌は水はけのよい小石混じりで、石灰や粘土も混じる複雑な砂質だそうです。低いコルドンで仕立てられたブドウ達は、haあたり5500本の株密度で、ひとつの樹からは7房から8房までしか実をつけさせない徹底ぶり。グイド・グアルディッリ氏自身がアグロノモと勤め、きっちりと畑でブドウを見ているから成せる業なのかもしれません。
設立当初は、コルペトローネと同じく、エノロゴに名高いロレンツォ・ランディ氏を迎えてましたが、現在では、エミリアーノ・ファルシーニが担当しております。
現在は、モンテファルコ・サグランティーノとなる、サグランティーノが植樹された畑が7ha。モンテファルコ・ロッソとなる8haには、サンジョベーゼが60%、サグランティーノが15%、メルロが25%、その他、カベルネフランとコロリーノが植されています。
そんなペルティカイア唯一の白ワインが、僅か2haの畑で栽培されているトレッビアーノ・スポレンティーノ種100%からなる辛口の白ワインなんですね。
トレッビアーノ種といえば、イタリア中部では馴染みの白品種ですね。大きく‥エミリア・ロマーニャ州での「トレッビアーノ・ロマーニャ」と、トスカーナを中心とする「トレッビアーノ・トスカーノ」に分別できるようですが、中川原まゆみ著「土着品種で知るイタリアワイン」には、このトレッビアーノ・スポレンティーノ種はどちらにも亜種として名がありませんでした。
ペルティカイアが位置するスポレート近郊のトレッビアーノは、トレッピアーノ・トスカーノに比べて収穫時期が10月末と遅く、完熟した状態でも酸度が6%から6.5%となります。その酸度の高さこそが長期熟成に向くと言われる所以で、当主グイド氏曰く、ペルティカイアのトレッビアーノ・スポレンティーノの上質かつ豊富な酸とミネラルは長期熟成向き。10年以上熟成させて欲しいと言われつつも熟成させたことはありません。
南東と南向き‥海抜320mから350mのの石灰質と粘土な土壌には、haあたり4500本の株密度で、トレッビアーノ・スポレンティーノ種が栽培されています。すでに黒ブドウはすっかり収穫を終えた10月末に収穫されたブドウは、不活性ガスの元(酸化を嫌う)丁寧に搾られます。温度管理されたステンレスタンクで、まずはコールド・マセラシオンの後、15度から16度で約15日間の発酵。そのままタンク内で約6ヶ月熟成され、瓶詰めされます。
2013年まではIGT表記でしたが、2014年から2011年に制定されたスポレートDOCを名乗ります。スポレートDOCはペルージャ県、白はトレッビアーノ・スポレンティーノ50%以上で品種名を名乗る場合は85%以上、度数11.5度以上の規定。スペリオーレや、スプマンテ、パッシートの規定もあり。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ブルゴーニュ方瓶。2013年まではラベル下に"Long -Life Wine"の文字がありましたが、スポレートDOCとなった2014年からは記載がないようです。コルクは2013年同様、ディアム社製ではありませんが十分な質の圧縮コルクの4.5cm。表記のアルコール度数は華麗にスルーした2012年は13度、2014年は失念。2013年は12.5度の表記で、この2015年も12.5度の表記となります。まずは冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのブルゴーニュ型です。
2013年同様にしっかりと「黄色味」のある色合い。もちろん濁りなど皆無ですけども。白桃、黄桃、完熟したゴールデンキウィ、このスパイスが混じる花の香りが例えれない‥オレンジピールのシロップ漬け、香りが非常に濃厚、濃密、で重さすら感じますね。グラスの中の液体も重厚でスワリングに重みすら感じます。うん、フルーツの香りはかなり重たく、重心が低いんだけれども、フラワリーな香りに揮発的な軽やかさ‥でも、12.5度、アルコールによるボディでも揮発でもないのも凄い。
冷蔵庫キンキンですが、十分に香りが開いてる。これが温度をアゲアゲにするとどうなるのか恐ろしい。2014年は実は二本ほど飲んでいるのですが、まったくの異次元。
ああ、とりあえず飲ませてくれ‥。口に含みますと、とても滑らかなミネラルが溶け込む輪郭、ミネラルが硬い‥いや、密度が高いという意味でパツンパツンのボディ。まさにフルボディ。グラスからの香りほど甘味は味わいには感じず、少しの塩味あるミネラル、質の高い酸味にはトゲがない。香りほど味わいに桃のような白い果肉の風味は前ではなく、柑橘が前、でも、柑橘もトゲトゲしない。
フルボディで重い酒質‥樽熟成させてないんだけれども‥グイド・グアルデッリ氏が偉大な品種‥とするのも理解ができる。
トレッビアーノだよ?
そんじょそこらの「それ」と同列で扱って欲しくない。もちろん、トレッビアーノ・スポレンティーノの中でもこのペルティカイアのそれは‥異次元。
12.5度もまさか‥と思わせる。それぐらいボディがあるし、それがアルコール由来ではなく、果実本来の力強さや深さに由来するものであるということ。重いので飲み応えもあるが、ストレスはない。
明治、十勝のスマートチーズ(チェダーブレンド)の塩味とチーズな乳な部分とも合うなあ。
キンキン温度でも十分に満足できる味わいなのだが、これは温度を上げた方がいいのか、どうか‥ここにシャルドネとは違う、トレッビアーノ特有のミネラルと果実の関係性他モロモロがある。だから飲んでみないとわからない。
ふむ、2015年はアロマチックな香りもある。ミネラルに「味」が溶け込んでるなあ。香りに甘味を感じつつも、味わいはいたってドライで、酸味も十分。柑橘的には完熟したグレープフルーツ果汁のシャーベット的な感じ。重いんだか、シュっとしてるんだか‥。
年々、ブドウ本来の果実の香味が強く、濃密になっていますね。樹齢が上がってきていること‥の証かもしれません。
うーん、旨いねえ。こんなにも力強く果実味が凝縮しているワインも珍しい。しかも、ミネラルを感じつつも、ミネラル一辺倒でないのもいい。
ようやく温度の上昇を感じつつ‥となると旨味が出てきますねえ。柑橘果汁の濃さにも似た旨味‥2015年の特徴はよりフラワリーさもあるし、ボディの厚みも図太い。
一周回って、これまでの果実味と、フラワリーな雰囲気を想像すると、熟した洋梨にも辿り着く。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのブルゴーニュ型です。初日同様、やはり色がしっかりしていますね。同じトレッビアーノでも違うものです。トロピカルフルーツのように重みのある果実香は、桃や洋梨の白い果肉が熟れ熟れで黄色に、そこに皮の色の濃い柑橘+フラワリーな香りが加算された感じ。シャルドネのようなパイナップル系の香りではありません。
2013年の毒味を読み返すと2013年もフルボディだったようだが、これほど熟れ、濃密だったとは思えない。もちろんミネラリーな部分もあるのだが、溶け込み、どっぷりとした果実が前。キンキン温度でも何も萎縮することなく開いている。
膨大で濃密な果実味だけだとダルい酒質になりますが、要の酸はもちろんのこと、ミネラルや、少しの苦味が引き締めてくれますね。濃いだけ‥ではありません。
そこがまたこのワインの好きなところなんですよね。
どこかでトレッビアーノであることを忘れてない‥そんな感じ。
三日目は冷蔵庫から出して一時間、グラスはブルゴーニュ型です。ようやくミネラルと酸味が前に出て、よりトレッビアーノ感が増しました。フルーツも柑橘が前でトロピカルフルーツや白い果肉は後ろ。果実はやわらかですが、引き締まる部分はしっかりで、とてもいいワインですね。
やはりトレッビアーノ数あれど、良いものは良い‥。どうせなら良いものを造って欲しいし、楽しんで欲しい。旨味もしっかりありますが、強過ぎることはない。
やっぱりトレッビアーノ・スポレンティーノは素晴らしいな。もちろんペルティカイアが筆頭で間違いない。
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