Manna Vigneti delle Dolomiti 2015 Franz Haas

イタリアの白ワイン

更新履歴 2017/10/11
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マンナ ヴィニェーティ・デッレ・ドロミティ 2015 フランツ・ハース
《イタリア/アルト・アディジェ/白/リースリング・レナーノ40%、シャルドネ20%、トラミネール15%、ケルナー15%、ソーヴィニョン10%/辛口》


アルト・アディジェ地方におけるワイン生産と言えば、比較的組合組織からなる生産者の銘柄が多いのですが、このフランツ・ハースは、1880年にモンターニャ・モンタン村で創業したという老舗の自社瓶詰めの生産者。代々その名である「フランツ・ハース」を襲名るという‥まるで歌舞伎な一家で、現在の当主は1986年から‥7代目のフランツ・ハースさんが取り仕切っています。。

アルト・アディジェらしく海抜240mから800mにも及ぶ高地な斜面に約30haのブドウ園を所有しており、その土壌は大きく二種類の異なる地質が複雑に入り組んだドロミテ峡谷独特の地質だそうです。少しずつ自社畑を増やしいますが、賃借の畑もあり、現在は合計50haのブドウ畑となりました。

アルト・アディジェの土壌は複雑。斑岩や石灰岩が複雑に入り組む粘土質土壌がゆえに様々な品種の栽培を可能にもしてきた背景があるそうです。アディジェ川の西側にあるコルタッチャ村近郊では、カベルネやメルロを。モンターニャ村や、エーニャ村のある東側はピノ・ネロの栽培に適しているそう。トラメーノ村を中心としたトラミネール・アロマティコはその名前の由来にもなっています。

所有(+契約)するブドウ畑はそんなアテジーナ低地のモンターニャ村とエニャ村のチソン山の斜面に点在しているようで、近年新しく購入した畑は800mを超える高地にあり独特のミクロクリマを持ちます。

1982年から1986年にかけて仕立てをグイヨーに変更するのとともに、株密度をhaあたり6,500本から12,500本にまで高めたことはフランツ・ハースの品質の高さに繋がりますね。

他のアルト・アディジェの生産者同様に、赤であれば土着品種のラグレインのみならず国際品種であるカベルネやメルロ、そして絶品のピノネロを‥。白は、トラミネールや、ミュラートゥルガウ、リースリングなど、やはりドイツ圏の影響を色濃く受ける品種や、シャルドネなどを栽培しています。ボルツァーノは盆地‥昼と夜の寒暖差は大きく、しかも標高の差が激しいのでアルト・アディジェは栽培されている品種も多様になるんですね。


フランツ・ハースの白の最上級キュベが、奥様のマリア・ルイーザ・マンナの名前を冠したこのマンナ。ステンレスのヴァットで仕上げるリースリングをベースに、遅摘みのトラミネール、アリエ産のバリックで発酵が施されたシャルドネとソーヴィニョンブラン、2013年からケルーナーも加わり現在は5種類の品種の混醸となります。品種ごとの発酵が施された後にブレンドされるようですが、熟成はステンレスタンクとアリエ産バリックの併用で、澱とともに約8ヶ月間熟成され瓶詰め。最低7ヶ月の瓶熟成を経ます。


独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味


初ビンテージが1995年となりますので、この21015年は20周年。いつもマンナはグレー地の落ち着いた(ちょっと陰気臭い)ラベルデザインですが、この2015年はそんないつものグレージの周りをロイヤルブルーの枠で囲まれており、何のマークかわかりませんがモンスターエナジーのような三本線が、ラベルの青地や、同色のキャップシールにも描かれています。で、気付きました。コルクではなくスクリューキャップの仕様になっていますね。アルト・アディジェの生産者ですし、何もスクリューキャップだからどーの、こーのとは思いません。冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのブルゴーニュ型とします。

決して薄さはない透明度のある黄色。香りが面白いですね。この5種類の混醸だからこそです。個人的に強過ぎないで欲しいと願うトラミネールがちゃんと前に出過ぎてないのも嬉しいし、白くあって欲しいと思うリースリングは白い香り。黄色はシャルドネで、黄色と白の中間はケルナー、ソーヴィニョンが黄緑なポイントです。

シャルドネ由来のパイン系もあれば、ケルナーな洋梨、リースリングとも被る白桃の香りもありますね。ミネラルに白さ、トラミネールの揮発的な香りの広がりが、白や黄色の花を拾っては芳香に開かせる。クリアでミネラルも感じますが、しっかりと果実の複雑を感じさせてくれますね。

口に含みますと、白桃や洋梨の果実味が主体でやわらかさを感じます。思ったほど甘味推しではないし、13度というアルコール度数も適度なボリューム、ソーヴニョンっぽいシャープな酸味もあれば、シャルドネのレンジの広い酸も感じますね。しっかりと最後はドライに終息しますが、味わいは力強く余韻も長い。熟れ過ぎない、でも、未熟さのないパイン果汁とパインな酸味もいい。初日の一杯目ですが、旨味も感じられ、背筋の通った構成感感じる酸味とともに、チュパる唾液誘発系。

あまり芳香過ぎるのも好みではない。トイレの消臭剤(芳香剤)みたいなワインは嫌なんですよね。もしくは化粧品売場、どちらも「何も食べたくない場所」なんです。だから、あまり花の香りが強過ぎるのは良くない。まあワイン単体なら‥ですが。

相変わらず品がありますね。とてもエレガントな混醸です。混醸の楽しみは時間と温度によって前に出てくる混醸品種それぞれの要素が入れ替わるのも楽しみです。ゆっくりと飲んで欲しいですね。

そいういう意味では表面積の広いブルゴーニュ型グラスもいいし、一般的な白ワイングラスでもいいと思いますよ。度数も13度だし、品種的にもそちらが似合う品種も多い。グラスを換えて楽しむのもいいかもね。

まだブルゴーニュ型グラスですが、少し温度が上がるとなめらかさ、わやらかさ‥洋梨の風味がさらに上がってきましたね。とはいえ、酸味もあるし、ミネラルはよりクリアな印象。

二杯目はグラスをヴィノムのキャンティ型に変更してみます。一杯目を注いでからボトルは出しっ放しです。ほう!このグラスもいいじゃないですか!複雑さという意味ではどれだけ香りを拾えるかはこれからですが、ある程度の複雑さを保ちながらもまとまってますね。洋梨、白桃と、花の香りを主体に少しの柑橘やハーブ、スパイスも。

口に含みますと、うん、こっちのグラスの方が俺的には良いかもしれません。ブルゴーニュグラスと同じ要素を感じますが、いいまとまりがあり舌の上で「座りがいい」。軽くミンティで(この要素も強いとあまり好きじゃないが、この軽い‥のみなら複雑さに寄与する)、

温度が上がってもそう変わらないのは、「座りがいい」からかもしれない。決して分厚いボリュームや、たっぷりの樽が持ち味のタイプではないが、エレガントながら超複雑な香味は、マンナならではですね。

二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのキャンティ型で始めます。初日と香りのトーンはそう変わりません。やはりリースリングの白桃を主軸に、シャルドネのパインや柑橘、ケルナーの洋梨っぽさ、トラミネールの甘味、ソーヴィニョンは隠れがちかな。飲み口も塩気のあるミネラルを感じ、ドライな辛口となりますが、リースリングっぽさを感じるオイリーな部分もありますね。とはいえ、石油香が前に来るわけでもありませんが…。

柑橘と白い果肉の果実がしっかりと主張、そこに旨味あるんだけれども、塩気や酸味がキューンと引き締まってるのがまたいい。

いや、マジで複雑さが素晴らしいですね。

ブラインドだとほんとわからない。5種類の個性、ペンタゴンのバランスが新しい品種に思えるはずです。

ほんと、これぐらいのグラスが丁度いいですね。大きめでもいいんだけれども、やっぱり座りがいい。温度が上がってくるとより白桃や、洋梨の果実の香味が甘味も伴って強めに感じるんだけれどもパインの酸味もあるし、ほんと飽きさせない。

ただ、この価格の白となると樽がそれなりに効いてて、ボディ感があるかも‥を想像すると肩すかしを喰らうかもしれない。ショボさやヌケに繋がるような密度不足は皆無だけれども、マンナの楽しみはそ複雑さにあり。クリアだからなおさら、その複雑さも際立つ。おもったよりも、温度や時間で攻守交代、要素の入れ替わりがあるわけではなく、マンナの美味しい「体(てい)」のバランスを保ったまま複雑さを感じる。

三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはオヴァチュアにしてみましょう。香り、味わいともに馴染んできましたね。ミネラルもやわらかく、香味はリースリング、シャルドネから、トラミネールとソーヴニョンが前に出てきました。

旨いね。酸味もほんといい。隙がなくやわらかく、しなやかに詰まった密度、重々しくなく、かと言って、サッパリと軽やかさが身の上でもない。複雑さというレイヤーは香り、味わいにも感じられ、独特のバランス、個性を持つ。

じっくりと飲めば、飲むほどこのワインの良さ‥わかって頂けるはずです。

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